【Mr.Children 深海】5thアルバムの楽曲レビュー|ヒットチャートのてっぺんで見たのは深く暗い世界?

【Mr.Children 深海】5thアルバムの楽曲レビュー|ヒットチャートのてっぺんで見たのは深く暗い世界?

ミスチル歴20年以上の私が全アルバムレビューする企画第5弾。

今回は5枚目のアルバム「深海」を紹介します。

Mr.Children 5thアルバム「深海」について

1996年6月に発売された「深海」。

前作の「Atomic Heart」から約1年3か月という少し期間が開いたアルバムとなりました。

最近で言えば「1年3か月なんて短いスパン」と考えるところですが、当時は「ミスチル現象」と言われるほどのブレイクの真っ最中。

シングルCDはこの間6枚も出ていて、そのほとんどが1位になるほどの人気ぶり。

アルバムだって出せば確実に売れる状態だったわけです。

 

そんな中での1年3か月ですから、ファンにしてみれば待ちに待ったアルバムという感覚でした。

そんな中発表された「深海」はこのような待ちに待っていたファンをある意味大きく裏切るアルバムになっていたのです。

収録曲を見てみましょう。

 

01. Dive
02. シーラカンス
03. 手紙
04. ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~
05. Mirror
06. Making songs
07. 名もなき詩
08. So Let’s Get Truth
09. 臨時ニュース
10. マシンガンをぶっ放せ
11. ゆりかごのある丘から
12. 虜
13. 花 – Memento-Mori –
14. 深海

 

まず、ぱっと見て気づくのが、「シングル曲ほとんど入ってないやん!」ということです。

上でも書いた通り、前作のアルバム以降ミスチルは6枚のシングルを発売しています。

しかし、そのほとんどが「深海」には収録されず、シングルは「名もなき詩」と「花 – Memento-Mori -」のみ(「マシンガンをぶっ放せ」は「深海」発売後にシングルカットされます)。

「シングルが全部収録されたベストアルバムみたいなCD」を期待していた人にとって、まずはここで1つ目の裏切りに遭うことになります。

 

「まぁシングル6曲もアルバムに収録できないよね」と自分を納得させ、CDをオーディオにセットすると「え、これミスチルのアルバム…だよね?」と2つ目の裏切りが襲ってきます。

まだファンになったばかりの人からしたらミスチル=爽やかな曲みたいなイメージだったため、2曲目の「シーラカンス」で度肝を抜かれるわけです。

そしてアルバム全体を覆う暗いムード。

「深海そのもので1曲」というコンセプトアルバムで1曲1曲にほとんど間が開かない。

「深海」が「ミスチルファンであり続けるための踏み絵」と言われるほどの作品になったのは、こうしたファンの期待を裏切る内容だったためです。

 

私はこのアルバムを発売日に購入しました(人生で初のアルバムCD)。

世間の人と同様、私も色んな意味で度肝を抜かれました。

しかし、当時中学生だった私にとっては、その新鮮さがむしろプラスになり、よりミスチルにがっつりハマるきっかけとなったのです。

「深海」全曲レビュー

01. Dive

インストゥルメンタル。

波の音をバックに幻想的な音楽が流れ、このまま2曲目に繋がります。

02. シーラカンス

「Dive」から続いて静かに始まりますが、ギターの歪んだ音と共にスローテンポなロックへと変化していきます。

「深海」のイメージを決定づける1曲。

歌詞の解釈は難しいのですが、シーラカンスとは過去の夢で、夢が現実に叶った時、本来の過去の夢を見失ってしまったことに対する絶望感を歌っているように思います。

売れたからこその苦悩の歌ですね。

03. 手紙

シーラカンスからそのまま続くアコギ・ピアノのみのバラード曲。

3分未満とあまりに短い曲で、しかも「シーラカンス」の後ですが、だからこそ印象に残りやすい曲でもあります。

歌詞の内容は、別れた彼女を思ってしたためた手紙の中身のような内容で、実は4曲目の後日談らしいです。

04. ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~

このアルバムの中では比較的聴きやすいポップな曲。

徐々にサビに向かって盛り上がっていく華やかな曲ですが、なぜかこれまでのミスチルのようなキラキラ感はあまり感じません。

1番では男・女のキャラクター紹介と出会い、2番では同棲からのいがみ合い、最後のサビでは別れまでと、男女の出会いから別れまでが1曲の中にきちんと収められています。

05. Mirror

4曲目に続いてこちらもポップな曲。

「深海」の中では、これまでのミスチルのイメージに一番近い曲かもしれません。

歌詞の内容は、心理学にもある「他人は自分を映し出す鏡」ということを示しているような内容です。

マイナーっぽい1曲ですが、なぜかベストアルバムにも入っています。

06. Making songs

曲作りの最中の音源を多数繋げたインストゥルメンタル。

最後に生まれたばかり(と思われる)「名もなき詩」を歌っているところで完成した7曲目へそのまま移行する流れになっています。

07. 名もなき詩

ダブルミリオンを達成し、1996年で1番売れたシングルでもある超有名曲。

ロックでありながらもキャッチーで…まぁ一言で言えば名曲です。

ただ、歌詞の解釈はとても難解です。

恋愛というよりももっと大きな意味での愛を歌っているようにも、その愛を歌っている自分が檻(スランプ?)から抜け出そうともがいている歌にも聞こえます。

08. So Let’s Get Truth

長渕剛をモロに意識したようなフォークソング。

歌い方も寄せています(笑)

歌詞は社会風刺で、10曲目にも繋がってきます。

09. 臨時ニュース

テレビのチャンネルを次々と変えていくインストゥルメンタル。

1996年当時に行われたフランスの核実験についての報道番組が次の10曲目の冒頭に繋がっています。

「繰り返し臨時ニュースをお伝えします」で次の曲にいくのがカッコいい。

10. マシンガンをぶっ放せ

今では絶対に書かないであろう辛辣な社会風刺ソング…というか、この歌詞からは核実験をしている人も、核実験に反対している人も、全くそれに関心を持たない人も全方位に敵意を向けているように感じます。

行き場のない怒りをそのまま表現した歌詞なのかもしれません。

曲はアップテンポなロックでとにかくカッコイイです!

11. ゆりかごのある丘から

9分近くもある長い曲。

スローなバラードで、ループしてこのアルバムを聴いていると大体ここで眠くなります(笑)

歌詞は戦争に行っている間に、彼女が別の男のところに行ってしまった…という悲しいお話。

「ごめんね」と言ってるところを見ると、もしかしたら10曲目の勢いのまま、戦争に行ってしまった男なのでしょうか…?

12. 虜

このアルバムの中でも最もヘビーなサウンドのスローテンポのロック。

言葉はトゲトゲしいですが、ある女性の虜(とりこ)になってしまった男の一途な思いが歌われています。

13. 花 – Memento-Mori –

11枚目のシングルにもなった1曲。

サブタイトル「Memento-Mori」は「死を想え」という意味らしいですね。

最初は暗い感じで始まりますが、終盤に向かい少しずつ盛り上がっていく、という曲の流れは「深海」全体としても重要な立ち位置にある曲だと思います。

歌詞は女性視点で書いたものというのは有名な話で、女性に対する応援歌とも取れますね。

14. 深海

「シーラカンス」と合わせてアルバム全体のコンセプトとなっている1曲。

まるで深海にいるかのような不思議な雰囲気の曲で始まり、徐々にハードになっていきます。

歌詞は「シーラカンス」と同じ過去の夢に関することだと思います。

「連れてってくれないか、連れ戻してくれないか」

この時はまだ最後まで過去の夢を取り戻したいと思っていたんでしょうね。

 

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期待された作品を作らないのが長続きの秘訣?

このアルバムは何と言っても「ブレイクしている最中に発売した」というのがミソだと思っています。

もし、これが売れる前や売れて大分経った後ではここまで話題にならなかったでしょう。

 

たまにブレイクした曲をなぞるような曲ばかりを連発してしまうというアーティストがいます。

誰とは言いませんが、売れた曲と同じようなバラードばかりを連発している人とか覚えがありませんか?

このような「1回成功した方法を続ける」という作戦は一見効果的なように思えますが、聴く方にとってはすぐに飽きてしまいます。

その結果、すぐに消える…と。

 

ミスチルの「深海」は、まさにこれとは真逆の戦略でした。

「売れているうちに別の顔も見せておこう」という作戦です。

ブレイク中なら少なくとも「違う顔を見せた作品」自体は売れます。

その「違う顔」が受けなければそのまま消えてしまうリスクもあるのですが、ミスチルはその賭けに成功したということですね。

 

ただ、この戦略は別にミスチルだけのものではありません。

長く続いているアーティストはどこかで「違う顔を見せる」というギャンブルは大抵やっています。

例えばサザンオールスターズは「勝手にシンドバッド」でコミックバンドのような印象を与えた後に「いとしのエリー」という真面目な(?)歌も発売することで確固たる人気を得ました。

このように、期待されている物を敢えて外すというのは、人気を持続させるためには必要な要素なのかもしれません。

 

あれ?随分アルバムレビューから話が脱線してしまいました…。

 

とにかく陰鬱としていますが、逆にミスチルのアルバムの中でも唯一無二の存在感を放つ名盤です。

私のおすすめは「シーラカンス」「マシンガンをぶっ放せ」ですね。

ロックなミスチルが好きな方には外せない1枚です。

気になった人は是非聞いてみてください。

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